- 西川©友美の
ほんとうにやさしいタオル -
「ほぼ日刊イトイ新聞」から生まれた「ほぼ日ストア」のロングセラーアイテム『やさしいタオル』とJAGDA新人賞を受賞したアーティスト西川©友美によるコラボレーション。糸にも後加工にもやさしさを込めた使い心地抜群のタオルに、西川©友美のポップながらも緻密なグラフィックが加わり、手ざわりも見た目にも気持ちよいタオルができました。
織り×プリント
今までの『やさしいタオル』の表現では納得がいかず、織りにこだわった西川さん。藤高×西川©友美にしかできないことをやりたい、とおっしゃっていました。しかしながら織りでは細かい柄や多彩な色の表現は難しく、かといって西川さんの意には反するもののプリントで表現するにしても版のズレが出てしまう。おおらかに見えて実は緻密な計算がなされている西川さんの世界観を表現するのは困難を窮めました。そこで取った方法は『織り+プリント』です。ズレたくない白と黒は織りで表現した生地に、ズレることを想定した色の部分をプリントで載せるというアプローチを取りました。
プリントの版からも西川さんのこだわりを見てとることができます。黒にはみ出す部分は見えなくなるため、ズレ対策としてプリント範囲を単純に一回りか二回り大きくしてほしいという説明をしましたが、はみ出す部分でさえ造形にこだわり構築されたことがわかります。結果として重版で見え隠れしている部分は、単なる間ではなく意図されたものとして存在し、表現に奥行と余韻を与えています。
生地に施された織組織にもご注目ください。西川さんはただ白×黒の生地にしただけでは面白くないと、様々な織組織をテクスチャーとして実験的に採用しています。バス・シャワー・フェイスには6種類の織組織が、キッチン・ハンド・ハンドよこながには2種類の織組織がそれぞれ隠れています。是非目を凝らしてプリントと織りを追ってみてください。
泣いて笑って奮闘したタオルでしたが、西川さんがこのタオルの完成を見ることはありませんでした。いま2021年4月から止まっていた時が動き出し、アーティスト西川©友美の新作が世に出る、という喜びを感じています。今年の4月には西川さんの念願であった故郷での凱旋展が始まります。きっとそこでも鼓動を感じられるはずです。どうか、青森まで足をお運びください。
ヴィジョン・オブ・アオモリ vol.18
西川©友美「ちょもらんま」
会期:2022年4月29日(金・祝)~6月26日(日)
会場:青森公立大学 国際芸術センター青森(ACAC)展示棟ギャラリーB
https://acac-aomori.jp/